屋外用LEDビジョン設置のポイント
【目次】
・法令
▼まずは地域のルールを確認すること!
▼ルールを守らないで設置すると
▼屋外用LEDビジョンに屋外広告物申請は必要?
▼無許可業者にはご注意
・商品の選び方
▼屋外用LEDビジョンのディスプレイ破損対策
▼LEDビジョン配信システムの選び方
▼LEDビジョンの最適なピクセルピッチは
▼ディスプレイの設置方法は2種類あり
▼屋外用LEDビジョンに必要な明るさは
▼電気製品としての安全性
・設置後
▼屋外用LEDビジョンに法令点検は必要?
▼屋外用LEDビジョンに必要なメンテナンスは?
まずは地域のルールを確認すること
屋外にLEDビジョンを設置する場合、その多くは「屋外広告物」に該当し屋外広告物条例のほか地域のルールを事前に確認する事が必ず必要です。
・屋外広告物条例
屋外に広告を設置する場合、「良好な景観の形成」、「風致の維持」、「公衆に対する危害の防止」を目的として屋外広告法に基づきその地域で制定されている屋外広告物条例に従う必要があります。
屋外広告物とは、屋外で①常時または一定期間 ②継続して ③公衆に対して 表示されるもので、屋外に設置するLEDビジョンはそのほとんどが屋外広告物条例の規制対象になります。
屋外広告物条例では、表示できる屋外広告物の高さや面積等のほか、地域によっては景観計画に基づく色彩の規制があります。
例えば東京都では、下記のような場所に屋外広告物を掲出する場合は注意が必要です。
■文化財庭園等景観形成特別地区(浜離宮・新宿御苑・清澄庭園・小石川後楽園・六義園・旧岩崎邸庭園・旧古河庭園・殿ヶ谷庭園 の周辺地域)
■水辺景観形成特別地区(中央区の一部)
■墨田区景観計画に基づく規制の区域
■文京区景観計画に基づく規制の区域
■品川区景観計画に基づく規制の区域
・国家公安委員会告示
屋外でも鮮明に映像を映し出すLEDビジョンは時として交通の障害になる場合があります。信号機の近くに信号と似た色のサインを設けたり、標識の近くに広告看板を設けたりすることは法令で禁じられています。
・景観法
地域が持つ景観を守るために、とくに商業ビル・オフィスビルなどは景観法の規制対象となる場合があります。
例えば、東京都は平成19年4月に施行された「東京都景観計画」に基づいて「美しく風格のある東京の再生」および「東京らしい景観の形成」を目指しています。
この中で、銀座においては東京都中央区と銀座デザイン協議会が「銀座デザインルール」を制定しており、この中ではLEDビジョンに関する大きななどのルールも明記されています。
コンテンツの内容などについても放映前に協議会との事前協議が必要になります。
ルールを守らないで設置すると
行政から是正勧告を受け、最悪の場合は高額の費用を投じて設置したLEDビジョンを撤去しなければならないことになってしまいます。
このような事にならないよう、LEDビジョンを設置の際は、屋外広告物に関する法令知識を持った屋外広告士の在籍する業者へのご相談をお勧めいたします。
屋外用LEDビジョンに屋外広告物申請は必要?
- ■設置するLEDビジョンが「屋外広告物」であるかを確認しましょう。
- ■その地域の屋外広告物条例の規則を確認しましょう。
- ■申請が必要な場合は、屋外広告士へのご相談をお勧めします。
・屋外広告物とは
屋外広告物法では次のように記載があります。
屋外広告物法より引用
(定義)
第二条 この法律において「屋外広告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、
看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。
2 この法律において「屋外広告業」とは、屋外広告物(以下「広告物」という。)の表示又は広告物を掲出する物件(以下「掲出物件」という。)の設置を行う営業をいう。
つまり、屋外に設置するLEDビジョンのほとんどが「屋外広告物」に該当し屋外広告物条例の規制対象となります。
ただし、屋内に設置しガラスの内側から屋外へ映像を映すものは屋外広告物に該当しないと考えられます。
・屋外広告物条例とは
屋外広告物条例は屋外広告物法に基づき都道府県もしくは指定都市・中核市・景観行政団体に指定された市町村が独自で定める屋外広告物に関する条例です。
この中には屋外広告物を設置する際の許可制度が定められており、LEDビジョンを設置する前にはその地域の規則を確認する必要があります。
東京都(八王子を除く)の場合はこちらの東京都都市整備局のホームページから資料をダウンロードすることができます。
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/koukoku/kou_siori.htm
設置するLEDビジョンの表示面積や地上高によっては、屋外広告物の許可申請や屋外広告物管理者の設置が必要になる場合があります。
屋外広告物申請には屋外広告物に関する多岐にわたる法令知識が必要なため、屋外広告士へのご相談をお勧めします。
屋外広告物許可期間は多くの場合2~3年で、許可期間が切れる前に継続申請が必要です。
継続申請の際には有資格者による安全点検を義務付けている自治体が多く、その場合は屋外広告物点検の専門業者への依頼が必要です。
また、屋外にLEDビジョンを設置した場合、屋外広告物許可申請の必要有無に関わらず、安全管理の義務があります。
無許可業者にはご注意
屋外広告物の設置に関わる営業を行うには、その地域での「屋外広告業」の登録が必要です。
現在、LEDビジョン業界では「屋外広告業」の登録のない業者が屋外での設置工事を含む製品の販売を行っているケースが見受けられその多くは違法行為です。実際に、そのような業者が販売したLEDビジョンで、販売業者が屋外広告物に関する法令や施工の知識が不十分である事により設置後に問題が起きているケースが散見されます。
屋外に設置するLEDビジョンを購入する場合は、LEDビジョンの製品知識と屋外広告物に対する法令および設計施工の知識の両方を持った業者を選びましょう。
設置工事や屋外広告物申請を看板業者へ下請けに出しているケースなどは、違法な業者である場合が多く注意が必要です。
これらの問題を防ぐために、【LEDビジョンを取り扱っている看板業者】への依頼を行えば間違いありません。
屋外用LEDビジョンのディスプレイ破損対策
LEDビジョンのディスプレイ表面素材は耐衝撃性の高い樹脂が使用されており、防水性、防塵性についても通常の使用であれば、そのままでも全く問題ありません。
しかし、目の前に人が多く通る繁華街などでは、どうしてもいたずらによる破損が心配になります。
当社では設置の条件やお客様のご予算により、下記3種類の素材を用いたLEDパネルの破損対策をオーダーメイドでお勧めしております。
・強化ガラス
強化ガラスは通常のガラス(フロートガラス)に熱処理を行い、急激に冷却し製造されたガラスで、通常のガラスに比べて、約3.5倍~4倍の耐風圧強度を持っています。 LEDディスプレイの保護という面では最適な素材ですが、唯一のデメリットは高額である事です。
・ポリカーボネート
非常に耐衝撃性が高いプラスチック素材で、同じ熱可塑性樹脂であるアクリルに比べ数十倍の耐衝撃性があります。
透明度も高くLEDディスプレイの表面保護には最適ですが、耐候性は高くなく表面に傷がつきやすいという特徴があります。長期間使用すると徐々に変色するので数年おきに交換が必要です。
温度変化により膨張収縮が起こるので施工には注意が必要です。
・アクリル
耐衝撃性ではポリカーボネートに劣りますが、耐候性・透明度とも高い素材で、看板には非常に良く使用されます。
温度変化により膨張収縮が起こるので施工には注意が必要です。
LEDビジョン配信システムの選び方
LEDビジョンの配信システムはメーカーにより多種多様なシステムがありますが、用途にあわせて出来るだけ無駄を省いたシンプルなシステムを選択すればトラブルが少なくなります。
LEDビジョンのセットトップボックス(STB)に求められる機能はほぼ映像再生のみのため、PCベース(パソコンを使用するシステム)のセットトップボックス機器ではオーバスペックになるケースが多く、複雑なオペレーティングシステムはトラブルの原因になる場合もあります。
PiPit-VISIONは専用開発の超小型でシンプルなセットトップボックス(STB)を使用しており説明書いらずの簡単な操作が特徴です。
PiPit-VISIONのセットトップボックスやその他制御機器は全て屋外用LEDビジョン本体内の制御盤に設置することが可能です。
LEDビジョンの最適なピクセルピッチは
LEDビジョンのピクセルピッチ(ドットとドットの間の距離)による最適な視認距離は、次の式により簡単に計算することができます。
・ピクセルピッチ(mm)× 1.16m=最適な視認距離
LEDビジョンはピクセルピッチが狭いほど高精細ですが価格が高額になります。最適な視認距離とピクセルピッチを考え無駄の無い選択をしましょう。
ディスプレイの設置方法は2種類あり
・キャビネット
LEDビジョンの多くは、このような「キャビネット」と呼ばれる規格サイズの枠にLEDパネルが組み込まれた状態で販売されています。
利点としては、設置工事が比較的安易である点とメンテナンスが行いやすい点があげられます。
ただし、LEDビジョン設置場所の形状は様々で、メーカーの規格サイズではどうしても中途半端な大きさの画面になってしまう場合もあります。
オーダーサイズでのキャビネット製作が可能なメーカーもありますが、大量生産の規格品と比べると割高になるかもしれません。
・LEDパネル単体
小さなLEDパネル単体を組み合わせ、設置場所の寸法に最適なサイズの画面を製作する事が可能です。
この方法で設置を行うには、パネルの縦横をズレなく正確に組み合わせて設置する高い技術力が必要となり、工事を依頼する業者の選択が重要になります。
屋外用LEDビジョンに必要な明るさは
LEDビジョンのディスプレイの明るさの度合いは輝度(単位nits)で表されます。
設置場所の条件にもよりますが、屋外用LEDビジョンには5000nits程度の明るさを持った製品が最適です。
また、日中と夜間で必要な照度は大きく異なります。照度センター付きの製品であれば夜間に必要を超えて明るくなる事も無く電気代が節約されます。
最近では、屋外でも映像や文字を鮮明に映し出すLEDビジョンの特徴を活かし、建設現場での活用など様々な用途で使用されています。
電気製品としての安全性
このマークを何かご存じでしょうか?
電気製品の火災や感電などを原因とする事故が起こらないよう、電気用品安全法では安全規格が制定されています。
そのため、消費者が電気製品を購入する際、安全規格に適合している製品かどうかを区別できるようにPSEマークをつけて販売する事が法律で義務付けられています。
LEDビジョンは「光源及び光源応用機械器具」区分の「広告灯」に分類され、日本国内でLEDビジョンを販売するには電気用品安全法上の手続きが必ず必要です。
しかし、安さだけを売りにするような製品の中にはPSEを取得していないものも見受けられ、安全性や品質が疑わしい製品もあると思われますので十分注意しましょう。
屋外用LEDビジョンに法令点検は必要?
屋外広告物許可の継続申請の際に多くの自治体では有資格者による安全点検が義務付けられています。許可不要で設置できるLEDビジョンでも安全性を確保する責任があり定期的な点検が必要です。
・主な点検内容
1.主要部分の変形又は腐食
2.取付(支持)部分の変形又は腐食
3.ボルト,ビス等の脱落,変形又は腐食
4.表示面の破損又は汚損
5.電装部品の故障および安全性
「有資格者」とは各自治体によって異なりますが、主に屋外広告士などの屋外広告物の設計施工に関する専門知識を有する資格者に限られている場合が多いです。
屋外用LEDビジョンに必要なメンテナンスは?
LEDビジョンの耐用年数はおおよそ8年程度ですが、使用環境によっては5~6年を過ぎると部品の消耗により映像の一部が欠けたり暗くなる場合もあり部品の交換が必要になります。
そのため、交換部品の供給体制やしっかりとした保守体制のある業者を選択する必要があります。
・必要なメンテナンス
1.清掃
2.ドット欠けが生じたLEDパネルの交換
3.故障した電装部品の交換
4.筐体の錆びの補修
まとめ
屋外用LEDビジョンを購入する場合の業者選びは、製品を販売するだけではなく行政への申請や工事はもちろん設置後のメンテナンスまで自社で対応できる業者への依頼が安心です。
屋外用LEDビジョンの場合はメンテナンスに高所作業車が必要な場合が多く、自社で車両を保有していない業者は販売時の製品価格が安価でも、後々のメンテナンスが高額になりランニングコストを含めるとトータルで割高になってしまう場合があります。
LEDビジョンは一旦設置すると8年程度は使用する場合が多く、設置後の費用や対応を含めて業者を選択することが大切です。